四木

PERFECT DAYSの四木のレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
光が、凄くすごく美しかったです。その光に気づく、主人公の心も美しいなぁと感じました。
音楽がとても良かったです。一曲もわからないし、鉛筆でくるくるしていた意味もわからない世代なのですけれど、どの曲も映画にぴったりでした。タイトルの由来と思われる歌詞が流れるタイミング、最後じゃないのか〜ってびっくりしました。

幸田文さんの『木』は未読なので、読みたいです。
古本屋さんのお姉さまが好き。購入する本にまつわる一言、良いですね。

耳が親友で、俺はおまけって話していた時の空気がとても好きでした。だからこそ、予想できていても、その後の展開が辛かったです……。

金髪の女の子の泣きそうな表情と、彼女が降りた後の主人公の表情が秀逸でした。車の光が赤なのも良いですね。

主人公役の、役所広司さんの表情が本当に凄いです。
ラストのドアップは、泣き顔と笑顔でこんなに表情が動くのか目の形が違うのか……とマジマジと見てしまいました。シワの一本一本動かせるのでは……? と思ってしまうほど。

セリフに頼らない、説明し過ぎないで、役者の演技を魅せる演出、凄いです。正直、受け取ることができたのは一部だけだと思います。それが悔しいです。
ラスト何故泣いたのかわからなかったです。それでも、もらい泣きしそうになりました。

映画が終わって、咄嗟にスマホの電源を入れてしまう自分に嫌になってしまいました。デジタルデトックスを意識しなくても生きている人の物語だったから。
映画館から出ると、あまりにも多くの光や音が溢れていました。選び抜かれた光と音の映画。とても心地良かったです。

帰り道、ふと内容を思い出して、昔の父とは違うと知っても会いたくないのは、自分と似た過去をお持ちなのかもしれない……と気づきました。わたしも絶対に会いたくないです。
そう考えたら、涙が溢れました。危うく号泣してしまうところでした。


2024/03/27 映画館にて
四木

四木