ぐろりあ

PERFECT DAYSのぐろりあのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.7
海外の映画祭で賞🏆とりゃ観客入るし、この世の中で在るがままに清貧を生きる姿に静かな感動…
監督は有名で日本が舞台で役所広司さんとくれば、高齢者の方々が喜び勇んで劇場へ足を向ける典型的な作品であろう事は容易に想像つくなぁ…
私も若くないけどまだまだ忖度はしないぜ…と劇場へ向かいました。

敬服しました。🙇🏻‍♂️すいませんでした!

いつも映画に行くと起承転結とか…
序破急なんかあって身構えていた事をこの作品で体得しました。
それを楽しんでいるのではあるのですが…。
全くそのまんまに受け入れるだけの身体感覚でずっと心地よく観ていました。
『あれ、時間忘れてありのままに観てる』
はっとしました…これは小津安二郎『東京物語』を観た時と同じ…見事に監督の意図にわかりやすくハマっていました。

うまく言葉は見つかりませんが…人は生きて行くと、どうする事も出来ない悲しみや別れが誰にでも身近に…すぐ目の前にあるけど…それを避けたり、見えなくする努力を人は(自分も)するものだけど…
不器用に受け止めようとも、生きていこうとする姿に言葉を失い…泣いてました。
嗚呼、この男もそこは我々と変わらない人だった…。強くもなく、清らかでもない。

煙草と影
そこに絡む三浦友和さんの役割が大きかったです。

あまり登場人物に自分を引き付けて観るのは嫌なのですが…
いいんだよね…って思う自分はそんなタイミングなのでしょう。

余計な説明を排していながら抱えるバックグラウンドもわかるから…その後の行動がものすごく腑に落ちて染みて沁みて…
この作品でこんなマジックを感じるとは思いませんでした。
この映画は私にとって、とてもいいタイミングで出会えた作品だったのでしょう。

しかし、こんな芝居されたらそりゃカンヌで男優賞も納得出来ます。
役所さんらしく眼光鋭い面も見せる…眼が笑っていない…ただの男

完全に日本が舞台で全員日本の役者さんしかいないのに、音楽が絶対日本映画に出てこないセンス…素敵でした。

正直ヴェンダース監督作品はどれも好きではなかったのですが…夢の残像の感じ
色合いと影と光の中の美しさ
田中泯さんがそのまんま田中泯さん
柄本時生さんなどみーんな素敵な役者さんばかりでした。
柄本時生さんのガールフレンド役の方がまたすっごく素晴らしかったです👏

敬服いたしました。
ぐろりあ

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