いぬ

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のいぬのレビュー・感想・評価

3.9
分かりやすく、面白く作られてる

社会問題化した実話をベースにしていて、その意味で硬派なテーマだと思うが、しっかり商業映画として面白く見せている。カトリックやイタリア史にそこまで詳しくなくても置いてけぼりにならない程度に分かりやすく作られていると思う。
ただ、わかりやすい=事実を単純化していると思うので、深い知識のない自分がこの映画だけを根拠に「キリスト教ってひどーい」などと短絡的に言ってはいけないのだろう。とはいえ、八百万の神がしっくりくるごく一般的日本人の自分の目には、キリスト教って、教義とか成り立ちからしてそもそも「頭でっかち」というか、運営者に都合がいいような後づけ理論が多いように見える。映画の中でユダヤ教団体の幹部に、権威的なカトリックの教皇が「ひざまずけ」と言い、ユダヤ教徒が言われたとおりにする場面があるが、この「ひざまずく」というのは日本で言う「土下座」だよなと思った。土下座はしてもさせても行けないと思う。
なにかを信じさせる時に「◯◯しないと地獄に落ちる」というような、「恐怖」で人をコントロールするのって人を救わない、とこの映画を見て改めて思った。残念なことに多くの宗教で導入されてる方法だけど。
最近ゴッドランドを見て、立て続けにキリスト教の闇みたいなのを見たが、こうした作品が多数作られるのはご時世なのだろうか。
落とした照明やカメラワークの緩急など、映画作品としてすごくきちんと作られていることも、最後まで飽きさせないことにつながってると思う。
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