ルイまる子

ポトフ 美食家と料理人のルイまる子のレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
4.0
ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルの夫婦愛を料理に乗せて。美しい映像。最高級のフランス料理を作る工程が美しい。でもあああ、12/15公開後もう一度見に行きます。理解が良く出来てない気がするのですが、ただ、そこまで理解を必要とする作品ではなく、どなたかが書いていた様に『美味しんぼ』の豪華ヨーロッパバージョンの作品だろうと思う。だからそんなに気負わずグルメ好きの人なら誰でも楽しめそう。ただ、もう少し細かいところを良く見たいから12月に確認してみます。


東京国際映画祭でなんと敬愛するトラン・アン・ユン監督がなんと愛妻のトラン・ヌー・イェン・ケーさんさんとご登壇!!!!私も古くから見ている相当熱心なファンだから、聞きたい事があった。だからこそ、こういうマニアックなファンが居そうな作品は特にQ&Aを、視聴者中心に進めて欲しかった。このレビューでもどなたかも厳しい口調で書いてましたが、司会者があまり必要でもない話、レッドカーペットについてなど、変な展開にならない防御策か?ジェネラルな質問で誤魔化し質問をしていた。もっともっと遥かにマニアックな質問をしたかったファンを中心に進めるとリスキーだったのか?私はもっと深い話が聞きたかったのだよ!


それからフランス語→日本語→英語という順番の通訳で、英語になった段階では最初監督たちの口から出た言葉よりも遥か短くなっており、あれだけ長いフランス語の形容詞は全て省かれたんだろうなと感じた。多分大袈裟な形容詞は英語では省くんだね、実用的な言語だから。しかし、奥さん、トラン・ヌー・イェン・ケーさん最後に良いことを言っていた。


「皆さんが美しい映画だと言って下さるのは嬉しいのですが、私達が目指したのは美しい映画ではなく、「正確な映画」です。正確さを目指せば、自然と美しくなるのです。」
「正確」とは「道義的に正しい」とかではなく、ただただ「正確」という意味だと思うのだ。トラン・アン・ユン監督はコップ1つ置く場所にしても何時間もやり直し、正しい位置に置く人だ。だから台所の風景にしても、お玉がたくさん壁に吊るされてたけど、ああいう位置も決まった位置があって、1ミリ左にズレただけで美形が崩れる、そういう意味の「正しさ」を言ったんだと思う。しかし、なんせ、前述の通り、フランス語がわからないからどういう「正しさ」を言ったのか分からない。というかたとえ曖昧な表現だったとしても、ファンにはそのミリ単位に神経質な監督の作風を知ってるから美形についての話だと思う。極端な話、小津安二郎も同じ美を追求する監督だから、俳優に変な演技されると全体のバランスが崩れるので人形みたいに演じない役者を起用していたと言われていた。トラン・アン・ユン監督も、そこに立ってるだけでいいから演じるなとある俳優に言い、キレられてその俳優はそのまま出て言ってしまったとかいうエピソードさえあったと思う。それくらいの高いレベルの美術館映画です。日本で大ヒット間違いなしですね!

東京国際映画祭2023年4本目、
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