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ポトフ 美食家と料理人のKUBOのレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
3.6
え?ポトフ、作らないんかい⁉︎

今日は、先日予定が重なって試写会に行けなかった『ポトフ 美食家と料理人』が公開されたので劇場にて鑑賞。

まず思ったのが、魚も肉もあんなに食べた後に、よくこんなデカいケーキが入るな(笑)!

美味しそうな高級食材を使って、午餐会に出す料理を調理するシーンにかなりの尺が使われるが、「料理」が、「ガストロノミー=美食学」がこの映画の主役だ。

料理をしているシーンでは、焼いたり煮たりする音がめちゃくちゃリアルで、匂いがしてこないのが不思議なほど!

料理はミシュラン三つ星シェフ「ピエール・ガニョール」が監修。自身も皇太子のお抱えシェフ役として出演もしている。

ザリガニって、先日フィンランドのイベントで食したが、フランス料理にも使われるのね。

ナプキンを頭からかぶって何やってるんだ(?)と思ったけど、ズアオホオジロを食べる時にはそうするのがマナーだとか、初めて知った。

19世紀末、今から約100年前のフランスを舞台にした作品だが、舌だけじゃなく目でも楽しむフランス料理は、日本料理と並んで食通のための料理だなぁと改めて感心する。

また大勢の客を招いての屋外での午餐会の様子など、ルノワールのようなまるで印象派の絵だ。

本作は、ユーラシア皇太子をもてなすための料理に、あえて「ポトフ」を選んで、家庭料理で皇太子を魅了できるか挑戦する、

といった予告編のような映画ではなかった。

稀代の美食家とその美しき料理人との、愛と料理の物語。

監督は『青いパパイヤの香り』『ノルウェイの森』のトラン・アン・ユン。本作でカンヌ国際映画祭最優秀監督賞を受賞している。

本作だけ見ると、唐突とも取れるエンディングだが、この後、少し【ネタバレ】に触れてその疑問点を補完する。

*以下、ネタバレ





原作ではウージェニーが死ぬところから始まるが、トラン・アン・ユン監督はその前日譚になるように本作を作ったとのこと。だからこそ、原作では完成するポトフはまだ作られないし、新しい運命の料理人に会いに行くところで映画は終わる。これは知っていた方がよかったのかな? パンフレットの監督のインタビューを読んで、諸々合点がいった。

PS.最近ポリコレくさすぎる映画が多いけど、久しぶりに黒人・アジア人が出てこない映画を見た。
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