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落下の解剖学のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

演出、カメラの動き等々全てがピンと来なかったし、間違いなく150分を超える必要も無かったと思う。「Fall」という言葉から何かしらの上下運動を期待し、家の階段の構造を見てキター!となったものの寧ろ動きよりドキュメンタリー的な人物の生々しさにフォーカスするだけでうーん、っていう。同じくフランス映画の法廷劇『サントメール』の演出を見てしまったあとでは雲泥の差と感じる。

 で一番グッときた映像が、取材した女性が去る場面における家全体を写したショットでそれは父が不在、母は最も高い位置、子供は犬と散歩に出かけようとする瞬間を切り取ったもの。つまりこの瞬間に結論がほぼ出ていたように思う。この後の衝突や内情暴露はある意味徒労で、台詞で語られるように勝利しても何も手に入らない。この必要のない足掻きの時間こそがこの作品の肝なのかもしれないと思う。タイトルから連想する『或る殺人』との連関を思うと結末も解決かどうかは分からない。
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