スズキ

落下の解剖学のスズキのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
2.9
つまんなかった。

これは作品というより日本の宣伝の仕方の問題だけど、すごくミステリーっぽく見せてたのは本当に良くなかったと思う。そのせいで映画が進む正しい方向へのチューニングがかなり遅れた。

人里離れた山荘、雪が積もってる、謎の死体、目撃者は視覚障害の息子のみ、二転三転する証言ってもう、トリックを見破るタイプのミステリーなのよ。

途中で、夫婦はカオス的なセリフがあって、これが今作のテーマなんだろうけど、その辺りはかなり凡庸に感じた。知ってることが知ってるまま、見たことのあるものが見たことのあるまま描かれてるようにしか見えなかった。

その割に意図不明な、ちょっと気を衒ってみましたみたいなカットも多くて疲れてしまった。動作の一つひとつを自然な流れの中で撮ろうとしてるところは良かったけど。この監督の次回作を見たいとは思えなかったな。

後半、法廷ものに移るんだけど、検察があまりにも悪質で最後まで不快だった。何の意味があるのかわからなかった。

犬の演技が絶賛されてるみたいだけど、アスピリンのシーンは犬にかなり負荷をかけてるように見えたけどあれは実写だよね?許されるのかな。

『フレンチアルプスで起きたこと』は見終わった後はこんなしょうもない話をわざわざ映画にすんなよ、と思いつつ、見終わった後によくよく考える中でそこまで酷くもなかったと思い直したように、本作の印象も変わるのかな。とりあえず、気を衒おうとしすぎなのが嫌だった。自分が見たいのは面白い映画であって、気を衒った映画ではないので。

雪山の山荘で夫が死に、妻にその嫌疑がかけられる中で、様々な家庭の事情が明らかになる話。
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