鹿苑寺と慈照寺

落下の解剖学の鹿苑寺と慈照寺のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.6
何があったのか?という「事実」が大事なのにマスコミも検察も証言者もどいつもこいつも各々の「想像」から「物語」を作り上げていたのが印象的だった。

当事者同士の諍いのニュアンスなんて当事者にしか分からないし、他人には絶対100%伝わらない。裁判所という公的な機関での裁判にも関わらず、第三者が口出しすんなと元も子もない感想に行き着いてしまった(もちろん殺人の疑惑がかかっているんだから警察も司法も介入せざるを得ないんだけど)。

本作を鑑賞して思ったのは、当事者同士の争いに第三者が介入すると拗れるということ。本作でも証言者や検察官は好き勝手に想像で話していて、場が散らかっていたし。結局のところ何が本当で、何が嘘だったのか、裁判官は場に散らかっている「真実」らしきものを拾って判断を下している。本作でもそうだし、現実でもそうなのだろうなあ。