なっちゃん

落下の解剖学のなっちゃんのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.9
面白かった…!すごい好き系だった

本作でパルムドック賞を受賞したスヌープがとにかくかわいい。
大きい犬はいいね。

まず"Anatomy of a fall"「落下の解剖学」というタイトルが最高。おしゃれすぎ。
劇中でfall=落下を解剖していくわけですが、落下とは転落死のことかと思いきや、夫婦関係の転落を解剖していく2時間半。
作家夫婦の背景にある出会い、生活、息子の事故、作家としての才能、不倫、うつ病。
フランスって夫婦関係あっても不倫に寛容やったりするんかな?と思ってたけど法廷では普通に悪いこととして指摘されるんやね。

法廷シーンは正直サンドラに非がなさそうすぎて、検事があほにしか見えんかった。
イケおじ弁護士が言ってたけど、検察側には何も客観的証拠がなかったよな〜

イケおじ弁護士といえば、不倫疑惑がかけられたサンドラにもやっぱり「こらこら(^_^;)」という誘惑モーションはあって、それも面白かった。
学生相手に誘惑したやろ!と検察から事実無根の指摘されてたシーンでは私も「いやサンドラは頼まれたから真面目にインタビューしてただけやん…いちゃもんやな〜」と思ったけど
いや、いけるときはしっかりいっとるんかい。(笑)映画見ながら口あいてもうたわ。

でもサンドラ、自分も裁判で大変なときに、息子から「ひとりになりたいから出ていってほしい」って言われて感情的にならず出ていったり、裁判終わって帰る前に今日帰っていいか聞くあたり、神親やん!!!とも思った。親としてはかなり頑張ってるよね…えらすぎ。
一方父親は息子に「犬(と自分)は死ぬかもしれんから覚悟しとけ」って言ったりしてたならやっぱりちょっとメンタル不安定よなあ……
ロンドンで経済的にきつくなった結果、自分の故郷に家族住まわせて家をエアビーにするというかなり大変な計画を実現性低いまま実行に移して自分を追い詰めて、それで「時間なくて小説書けない!」ってキレてるのもなんかなあ。
どれか1個終わらせてから次のことやらな。「自分で自分の罠にはまってる」というサンドラの指摘はごもっとも。
うつ病で脳のメモリ狭められてたんやとも思うけど。もともと自責系やったんやろうなあ。
そう思うと、またサンドラの話に戻るけど、彼女も心のどこかで「息子が事故に遭ったのは夫のせい」と思っていて、態度には出てたのかもな。
自責系夫はその雰囲気だけ察知してまたうつになるっていう悪循環ありそう。
この想像を弁論できた弁護士、かなり有能。

サンドラ役のザンドラヒュラーのビジュアルも演技もかなり良かった。
クールな見た目してて、なんにでも感情抑えめで話すから「え、もしかしてまじで殺してんのかな…」と思っちゃう。し、結局まじで殺してたんかもしれん。という終わり方でした。
媚びないけど魅力的だし、良かったな。

あとは被告人にとっての異国での裁判ってきつそうやね。
通訳不在で満足に言葉喋れてない回ではサンドラもやっぱり舐められてたし。
その国の言葉が喋れないからといってその人の思考能力がそれと等しいとは限らんのよな。
なっちゃん

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