ブタブタ

落下の解剖学のブタブタのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
旦那は自殺って事で間違いないと思うけど(私見です)『ソロモンの偽証』の1万倍は面白かった。
何が真実か?って事はそれ程重要ではない。
「真実はひとーつ!」とか安直な答えは提示されない。
人間とは複雑で多面的だから、夫殺しの容疑を掛けられた妻・サンドラの心の移り変わりとか、息子・ダニエルの自分の父親は何故死んだか?よりも生きてる母親の方が大事、これからの生活の方が大事と完全に腹括った感じとか。

転落死(?)した男(夫・父親)の役割は「死体」でしかない。
或いは役割等初めから何も無かった。
ダニエルの失明の原因となり、執筆するすると言ってるだけで小説は書けない。
サンドラにとって性的にも役立たず。
既にベストセラー作家が家庭内にいるのにこの男は何のために居るの?って気持ちがサンドラの中には当然あったろうし、だから基地外じみた言い争いもするのだろうし、其れは息子ダニエルにとっても実に悪い家庭環境。

男の死を巡る法廷劇、という形をとってはいるけど全くそこは重要じゃなくてサンドラとダニエルの如何にこの状況から脱出するかって知略を尽くした心理戦みたいに見えた。
サンドラとダニエル、更には犬のスヌープ迄協力して《邪魔者》でしかなかった男(夫・父親)の存在そのものを抹消した。

最初に自分の小説のネタを提供し其れを使って作家として成功してしまった妻。
「あれは俺の物だった」と言っても今更遅いし、全てがこんな調子であの男はサンドラに全て吸い尽くされる為に存在してた様にしか思えない。
サンドラはきっとこの出来事も当然小説にしてきっと売れるだろう。
そう思うと男が哀れでならない。
自分を当て嵌めて見ると絶対自分はあの男だと思うし🥹
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