Azmin

落下の解剖学のAzminのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.7
ずっと独特の重苦しさ漂うサスペンスだった。
法廷劇という方が良さそうか。

でも最後に真相が分かりスッキリ!という内容では無いので好き嫌いが分かれるかも。
私は惹かれるテイストでした。

夫の転落死によって突然わき起こる家族の静かで深い波紋。
この家族、一見普通に見えるけど実はそれぞれに問題がある。
それが事件をきっかけにじわじわと表面化する恐ろしさ。

派手さはないけど、見ているうちに何とも言えない気持ちになる。
後半公開される、夫婦が言い争う音声。ここがクライマックスだと思うけど、よく夫はこんなところを録音していたもんですな。

息子も可愛くていい子なんだけど、耳が聞こえないだけに感受性が異常に強い。
あの子が愛犬に試す薬のシーン。
わんこ好きなら見るのが辛かったと思います。
ラストはやれやれな気持ちと、あまり知られたくない母の秘密が明るみに出たばつの悪さなど、複雑に絡み合った空気感で締めくくられる。

主人公の作家を演じるサンドラ・ヒュラー。
時々他の作品で観ていて、平凡なのにどこか不思議な存在感のある人だと思っていたので、彼女の表情や演技だけでも十分雰囲気が味わえた。
一見の価値はあると思います。
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