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落下の解剖学のJPのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.5
▼見応え抜群の口論!

後半で待ち構える、夫婦の口論がヒリヒリする。今作で最もスリリングなシークエンス。パルムドールを獲る作品は「口論の見応えがある」というのが、もしかしたら選考基準のひとつにあるのかもしれない。(前年の「逆転のトライアングル」のカップルの口論もめっちゃ良かった)


▼イッヌかっわいい!

開幕から、イッヌ大活躍!とにかくかわいい!弱視のダニエルにとっての、盲導犬のような役割も果たしつつ、ダニエルが知性をはたらかせる場面には、必ずそばにスヌープがいる。知性の表象としてのボーダーコリー、サイコーです。飼いたい。
また、観た人には伝わると思うが、マジでどうやって撮影したのか分からない場面が1箇所ある。あれが犬自身の演技なのだとしたら凄すぎる。どんな芸当なのよ。


▼真実は闇の中だけど、決定的な証拠が無いのが◎
(ややネタバレあり)


夫の死にとどまらず、妻の盗作疑惑にまで話が広がっていく展開は予想ができず、とってもスリリング。それでも、夫が転落した本当の理由は明確にはされないのが◎
真実を疑いようがない”決定的な証拠”が、後出しジャンケンのように出てきて万事解決するのではなく、次々に疑惑と事情が浮き彫りになり、複雑に絡み合う。
「リーガル・ハイ」的な、「真実は闇の中で、世間からどう見られるかが問題」「人の数だけ真実がある」「人は信じたいものを信じる」というテーマが一貫して描かれている。
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