モリノ

落下の解剖学のモリノのネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ボールが階段を落ちてきて、犬がそれを咥え、また階上に戻っていく。インタビューになかなか答えないサンドラ、大音量の音楽と相まってフラストレーションが溜まる。大学生が帰ったあと、犬と散歩に行くダニエル。サミュエルが死亡。裁判が始まり、殺人と自殺のあいだで真相が揺れはじまる。真相は、本筋ではない。事件関係者の過去や言動の情報が増えていく。それなのに何一つ浮上することなく、周囲を巻き込みながら、さらに深くめり込んでいく。二人の愛は破滅したのか? 落ちたボールを犬が拾ってまた持ち上げたように、何かが終わって、終わりきってから、浮上したのだろうか? 犬みたいだね、といわれるサンドラ。犬は死ぬこともあるから覚悟しておけ、というサミュエル。その犬とは父のことだった、というダニエル。知らなかった父の秘密を確かめるために、犬を殺しかけるダニエル。わからないし疑わしいが、心を決めるしかない。フリではなく。消極的でなく。無罪となり、ダニエルと抱き合うサンドラ。ソファで眠るサンドラに寄り添うスヌープ。それを抱き寄せるサンドラ。サミュエルが落ち、裁判のあいだも落ちつづけ、やがて止まった。裁判に勝っても、見返りはない。
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