モリノ

オッペンハイマーのモリノのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ロバート・オッペンハイマー。時系列がシャッフルされている、ノーランらしく? 遠くからでもわかるアインシュタイン。公聴会の様子を交えながら、徐々に時間が進んでいく。原爆が如何なる人々によって、如何なる係わり合いのなかで作られたのか、すでに作られ、日本に使用され、世界中に拡がった現代から振り返ったとき、原爆の破裂や、誇りに酔いしれる人々の足踏みが、オッペンハイマーの過去においても見出され、鳴り響いているのか。丸い水槽にビー玉を入れる。小さいのと、大きいの。公聴会で不倫を認める。公になった、と怒る。記録として残る、それにアクセスされるたび、彼女の人生は踏み躙られる、という視点。ジャンルが入り乱れている感じもある。ストローズの暗躍があり、その怒りの矛先がアインシュタインとの会話につながり、あのときなんて言ったのかが明らかになる。初めから、すべてがそこにあったということ? 世界を変えた二人は、かつての世界を追悼するまもなく、自らの責任のなかに絡め取られていったということ? イメージが自在に縫い合わされて、抽象的なことばと専門的なことばばかりがあって、つまりそれがクリストファー・ノーランってこと? 戦争について語る上での、手札を増やさなければならないことを痛感する。
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