もしもし五反田

枯れ葉のもしもし五反田のレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.9
公式サイトを見ると「可笑しみと切実さに満ちた、最高のラブストーリー」と書いてあるし、
いろんな映画レビューサイトを見ると「まっすぐな愛の物語」などと書いてあるのだけど、
ラブストーリーやロマンスという以前に、まずは「生活者/労働者の実直なストーリー」だったなあ、と思った。

毎日の暮らしに必死で、苦しくて、つらくて、ギリギリの心で夜明けを待つ2人ありきで、そこに訪れる恋愛が、少しの希望と期待と淡い想いとして生きづらい毎日を彩っていくし、それが恋愛の素晴らしさだよなあ、と。
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クラシカルなロケーションやアイテム、レトロチックで品の良い衣装を用いながら、
時折チープでハリボテのようなセットや小道具が出てくる。
(入り口の扉開けたら目の前に階段がある病院、松葉杖の患者にシビアすぎでしょ笑)
でもラジオからはウクライナの惨状が聞こえてきて、
リアルと定まらない時代背景&リアルと偽物を行き来するような見せ方に興味が沸いた。
そしてキャストのほとんどが無表情だから、なんだか架空で虚構の世界を見ているような気がするのだけど、
ふとした時に見せるあの女性の笑顔に、感情が伴っているのがわかる。そしてこちらの緊張が緩む。
そうした仕掛けがおもしろかったなあ。
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流れてくる歌が、2人の心情を丁寧に拾い上げているような歌詞なのも好きだった。
特に、エンドロールで流れてくる歌の歌詞にある「枯れ葉の輝き」という言葉が好きだったな。

しかし英題は「fallen leaves(落ち葉)」なのに、どうして邦題は「枯れ葉」なんだろう。