もしもし五反田

ティファニーで朝食をのもしもし五反田のレビュー・感想・評価

ティファニーで朝食を(1961年製作の映画)
3.5
美しく、おしゃれに、奔放に振る舞っているように見えても、その足下には過去の自分がいつも絡まっている。
兄の存在にがんじがらめになって、ちょっとしたきっかけで過去の自分が追いかけてくる。

かといって“今”に目を向けようとすれば、バカ騒ぎのパーティは酒と人がうるさくそこにあるだけで、お金持ちに取り入られようとすることしかできないし、遂にはその立場を利用されて悪事に巻き込まれてしまう。

そんな中でホリーは、早朝にティファニーのショーウィンドウを見ているときだけ、未来を見ることができたんじゃないかな。
だって、“気持ちが赤く沈むこと”ばかりだったんだから。

でも、ポールと出会って、お金でも肩書でもない愛を知るだけでなく、自分の檻を壊すことができた。
「愛は檻」だと思っていたのに、愛が檻を壊してくれた。

一方でポールもホリーと出会うことで、お金だけでつながる虚しくて嘘モノの愛から脱することができた。

ずっと海の中に漂って淀んでいた男と女が、それぞれに海の上へと辿り着いて、出会って、ひとつの船に乗り込んで、“ただようふたりが、世界へ旅立つ”ことができるようになったのかな。
なんてことを考える。

チャトラの猫ちゃんの名演技も、「ムーン・リバー」の特徴的なフレーズが展開されて様々なBGMになっているのも好きだな。