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枯れ葉のmanaminieのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.0
相変わらず色彩感覚がすごすぎる。
ずっとブルーのコート着てたアンサが、最後ブラックのコートになって、季節の移り変わりと新しい生活が感じられるのがかっこいい。
音楽の使い方もやっぱり面白い。絶妙なダサかっこよさ。
派手さはないけど滋味のある美しい画面。意味の取りづらいシーンはなく、削ぎ落とされた要素のなかにユーモアのあるセリフが続く。弱者の鎧としての諧謔。

世界線がちょっと不思議で、ラジオと携帯電話はあるし、パソコンも存在してるし、W杯もウクライナ戦争もある。けど、テレビやスマホは家にない。

ベンチからベッドに切り替わるシーンとか、スーパーマーケットを出るとき同僚のリーザと手を握り合う場面がすごく好き。
イギー・ポップいたよね?カメオ出演が豪華だった。

主人公格のふたりはどちらも孤独な生活をしているけど、職場で知り合った人が社会と彼らをつないでくれる。生きることとはつまり働くことで、でも雇用は不安定だし働けなくなると詰む。その事実はとても残酷なことであると同時にある種の美しさを持つのかもしれない。

それにしても、あんな可愛い犬が野良でいたら連れて帰ってしまうよね…!
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