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枯れ葉のlanouvelleluneのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.9
これほど制作のモチベーションが劇中で濃く表明されているカウリスマキ作品を他になかなか思いつかない。至る所でラジオをかけて ‘それ’ について知らせつつ、ゾンビ映画を楽しむ人々を写すっていうのがまた。フィクション暴力は金を払ってでも見たいけど、ノンフィクション暴力については「うんざりする」から耳に入れたくないって一体何なんだと。自戒。まあ単純に ‘The Dead Don’t Die’ が好きで差し込んだのかもしれないけど。
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引退か、仕方ないか、と思った自分を覚えているが、それとこれとは違う、いざ戻ってくるとなれば大はしゃぎである。
引き寄せられ過ぎて埋まる、くらいの引力。カウリスマキが撮る人間たちのThe Simsみたいな動き方が好き過ぎる。四肢と胴体が無味無臭であるおかげで表情や台詞の機微が引き立つ。知った顔が以前見た作品でとは違う歩き方をするのを見るとこそばゆい。
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一番のお気に入りは、鏡に映る自分を一瞥して酒を捨てるシーン。ワンカットなのが凄く良い。顔をアップにしない、2-3秒にわたり鏡面を凝視しない。それでは忽ち嘘になる。
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赤を纏うポウスティ、青を纏うポウスティ、横から照らされるポウスティ、前から照らされるポウスティ —— バックに貼られまくった映画ポスターたちも相まり、色と光が仕事をするとこんなに満足感をもたらすんだと確認しました。
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