HARU

関心領域のHARUのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

・裕福で楽しそうに生きている家族をずっと観せつけられました。

・外で楽しく遊ぶ。美味しいご飯を食べる。パーティーをする。とても幸せに見える描写が多かったです。いや、そういった描写がほとんど。
→怖いほど、幸せなんです。彼らには目の前の事象しか見えていないから幸せだと思います。いや、意図的に見えないようにしています。

・私たち(映画を観ている人)は気になる要素があったと思います。
→その要素は、煙や銃声・悲鳴・怒号。微かに存在が認識できるもの。
→ありふれた平凡の描写のはずなのに、微かにある「他所の絶望」。
→ネガの世界で懸命にリンゴを隠れて入手する子供。その後に起きたであろう処罰の声。それを家で聞いて嫌な言葉を発する純粋な子供。
・「他所の絶望に無関心、だから平和」を嫌というほど体験しました。

・BGMはほとんどなく、あるのは生活音と絶望。
綺麗な花、可愛い犬、元気な子供のシーン。しかし、何か気持ち悪い。

・彼らは「不都合」に無関心。その不都合に目を背け生きています。
 そこが気持ち悪いと感じているのではないかと思いました。
→川遊びで「骨」を見つけるシーンなど。
→父親がいなくなってから、「家族が変になっていくシーン」もトラウマ級に怖い。徐々に凶暴性が増していく子供のシーンがとてつもなく嫌。

最後にまとめると本作は、フィクションとは程遠い「凝縮した現実」。
現代の博物館のシーンに映った犠牲になった方々の大量の靴。
それを観た時、私は目を背けようとしていました。しかし、この行動は
気持ち悪いと感じていた「無関心」。それをふと思い、私は強引に関心を向けました。「無関心」とはこの世で最も怖い事象なのかもしれません。
HARU

HARU