ゾロ

関心領域のゾロのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

大好物のA24
やはり、斜め上だねー
それでも、無駄なシーンが無い
見応えのある映画でした

予想以上に気分が悪くなった…

一番見事なのは、邦題の【関心領域】

原題の The Zone of interest とは
第二次世界大戦中、ナチス親衛隊が
ポーランド・オシフィエンチム郊外にある
アウシュヴィッツ強制収容所群を取り囲む
40平方キロメートルの地域を呼んだ言葉

実際にアウシュヴィッツの隣に住んでいた
所長のルドルフ・ヘスの家を舞台に
彼とその家族の当時の日常が描かれる

圧倒的な違和感しか無い
塀を挟んで向こう側が地獄

そして、徹底的に幸せなこちら側だけを描く

違和感だらけ
①試着しているコートも口紅も
使用人に分け与えられる洋服も…簒奪
②歯磨き粉から出てきたダイヤ…簒奪
③乗馬シーンでは、息子が鷹の声がした
(怯えているユダヤ人の声は、聞こえない)
④部屋で打ち合わせしている焼却炉の話は
500人…とか言ってるし
⑤タバコ吸いながら煙突の火を見てる
⑥金歯を確認する長男
⑦戦争ごっこする次男
⑧遺灰を浴びて、過剰に身体を洗う
⑨性処理後に、ナニを懸命に洗う
⑩銃声で目覚め夜間の声や燃え盛る火で
ここには居られなく帰る母親
11、遺灰を飼料がわりに利用
12、弟を閉じ込める兄(ごっこにしては…)
衝撃の台詞
夫に言って、遺灰にして家の周りに撒くからね
どうやって…毒ガスて殺せるか?考えていた
天井が、高いから無理かな?


明らかに、聞こえる音にフタをした世界
見えるモノだけ自分の幸せに特化した世界
そして、人の死への感覚がおかしな世界

異常な世界に、気分が悪くなった

徹底的な片側視点と音の違和感だけに、
何を見せられている?と迷子になる可能性大

暗視カメラに映っていた少女が
白く光っていたのは、この世界における
唯一の光で希望で善意なのかもしれない

ラストは、地獄に吸い込まれていくように
階段を降っていく…と嘔吐してしまう
ユダヤ人殺害への精神的苦悩は無かったし
検査してたから、体調不良でも無いはず
それでも、あの映像が挟まれたので
近い未来に指示を出す大量虐殺を
心の奥底では拒絶したのではないだろうか?


ユダヤ人虐殺の歴史や
ヒトラー、ナチス視点の映画は
たくさんあるが、この視点があったかーと
驚くと共に、無関心の恐ろしさを実感

また、6月公開のONE LIFE は
ナチスに追われるチェコに住むユダヤ人の話
シンドラーや杉原千畝さんのような感じかな?
本作とも関係がある話なので
公開前に少し勉強しておこう
ゾロ

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