totsu9piero

関心領域のtotsu9pieroのネタバレレビュー・内容・結末

関心領域(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

間接的な形で表現されたホロコースト。家族の生活の中に整然と、叫び声や銃声が溶け込む。人の会話や赤子の泣き声、犬の鳴き声、子供のはしゃぐ声に紛れて。もはや近所の学校の部活動の掛け声くらいの感覚。
「家のすぐ隣の施設で日々虐殺が行われている」という異常な状態が日常になっている、という異常さ。
直接的な大量虐殺を行う描写よりも、それを当然のように感じながら普通に生活を送っている人々の姿の方がインパクトがあるのかもしれない。

作品の中での叫び声に慣れてしまったのか、耳に無意識にこびりついており、エンドロールで流れるおぞましい感じのする音楽が人の叫び声に聞こえるような気がして、耳を塞ぎたくなるほど恐ろしかった。収容され逃れられない死の恐怖。受け入れられないまま殺されていく人々の断末魔。

引きの構図が多くを占めており、家族の生活の様子が余計に淡々として見えた。この家族の生活の一つ一つのイベントにはさほど意味はなく、そこで暮らしていること、それ自体を見せているような感じがした。
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