Hally

タイタニックのHallyのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
4.6
不朽の名作

ありふれたこの文句が1番似合う。私が生まれた1998年に世界中の映画賞を総ナメにした"誰もが"見た事のある作品。恥ずかしながら初鑑賞…。凄かった。いや 今更こんなありふれた感想書きたくないけど、めちゃくちゃ面白かったし、感動した。映画として評価が高いのにも納得。豪華絢爛さは勿論、映像としての迫力、愛の描き方、そして人間の描き方。めちゃくちゃ凄い。やっぱり名作と呼ばれる映画は、勿体無い精神で保留にするんじゃなくてどんどん手を出していかなきゃダメですね。

ジャックは現実に追い詰められたローズに"崖"からの"落ち方"ではなく"飛び方"を教えた。あの名シーンはやっぱり凄い。迂闊に真似したいとか思っちゃうけど、男として覚悟がいるよ。ジャックみたいな男になりたい!ローズの部屋に通され、ジャックは彼女の絵を書く。そのシーンの2人の"瞳"。男としてじゃなく芸術家としての"瞳"なのに顔を赤らめたり。ローズは女の"瞳"をする。ダイヤはただの引き立て役へと成り下がる。彼女自身 身につけたのは恐らくこれが最初で最後だろう(ここは私の推測だけど…)それを懐かしむ今の彼女の"瞳"もやはりおんなじ女の"瞳"をしてる。その描き方の上手さ。そして2人で逃げる。船底に置かれた車に乗る。運転席から後部座席(?)へ。ローズが彼を"星の世界"へ導いた。この"星の世界"って表現ね。堪らん。使いたいものだ。そこから結露した窓につく手。残る手形。こんなに素敵でエロティックな表現見た事ないよ。尚且つ、この映画の凄い所は後半のパニック映画としての完成度の高さ。人間の描き方ですよね。だから3時間という時間を一瞬にする。光の使い方とか凄い。映画で目がチカチカするほど眩しいって思ったのは初めてかもしれない。対比を通しての人の描き方。"いい"人間と"悪い人間。金持ちと貧民。ジャックとキャルドンの子供に対する扱いとかも比較で描かれる。船長と船の設計者の運命の受け入れ方と、何が何でも生きようとする金持ちの卑しさとか。あと比較で言えば芸術もこの映画において重要だろう。例えばローズはモネやまだ無名のピカソの素晴らしさを見抜き、キャルドンはピカソを馬鹿にした。絵描きとしてもローズに才能を見抜かれたジャックはモネの絵の素晴らしさを理解していた。クラシック音楽だって、終盤ギリギリまで金持ち達の添え物でしかなかった音楽。雰囲気を取り繕うために利用される音楽。でも最後の最後で音楽がメインになりその傍らで人が描かれ出す。それは音楽家、演奏者が自分達の本当の役割を再認識し、主体になったから。芸術家が人間ではなく芸術家として運命を受け入れる様には心が震えた。そういうそれぞれの"人"の描き方が半端ない熱量を帯びていて、惹かれる。映画って面白いって凄い思わされた。それをこんな名作で再認識させられちゃってる自分が少し恥ずかしいよ。素晴らしい映画だ。
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