Hally

寝ても覚めてものHallyのレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.2
水は川となり海へそそがれ雲になる。そして雨となり地上へ。再生と消費が繰り返される。キラキラしたり淀んだり。人を生かし、人を殺しもする。かたちを持たぬもの。"なにか"と一緒だ。

惜しい事をした。これを劇場スルーした自分を呪いたい。『万引き家族』『四月の永い夢』『ちはやふる-結び-』を始め、まだ自分は未見だが『君の鳥はうたえる』『カメラを止めるな』など評論家や映画祭から評価が高い作品が多かった。個人的に邦画作品の評論家評価の高い作品は自分とマッチする事が少ない。しかし今んところ当たりに当たる。これには自分自身のここ数年の嗜好の変化を感じる。『万引き家族』然り『四月の永い夢』も心の機微を繊細に描いた作品だろう。『ちはやふる-結び-』だって心の機微を繊細に描いてる作品だしその機微が映画的表現とシンクロするから強烈にエモいのだ。多分、この嗜好の変化ににガッチリ嵌ったのが今作だろう。昔なら良さなんて絶対分からなかった。今だって完璧に理解など出来ない。しかし"微かに"分かる。この"微かに"が重要でこれを手探りで落とし込もうと考えるから、その行為を繰り返すうちに特別な作品になっていく。落とし込もうとしても掴めないからいつまでも心が作品に囚われる。あぁ幸せ。
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