竜どん

ペナルティループの竜どんのレビュー・感想・評価

ペナルティループ(2024年製作の映画)
3.6
もっとホラー寄りなSFチックサスペンスを想像していたのだが、アンチクライマックスな構成で『世にも奇妙な物語』みたい(皆さん仰ってますね笑)なユルさに良い意味で裏切られた。

基本的に殺す側若葉竜也と殺される側伊勢谷友介(劇中で役名が使われることはほぼほぼ無い)の二人のみが同時間軸で同じ一日を繰り返すワンシチュエーション。
人を殺すストレスに主人公が精神を蝕まれていく導入から鬱展開になるかと思いきや…
二人の関係性の変化が軽妙で心地良い。騙し騙されかわしかわされゲーム感覚でループする一日を楽しむ両者の心情には少々違和感があるものの(復讐どこいった?)、観る方も舞台設定の種明かしには途中で気が付く筈なので許容範囲。リオの追われる理由•溝口の殺人動機など各キャラクターの背景描写が不親切な程に皆無なところが逆に感傷的•感情的要素への緩和に一役買っているのかも。コレが計算されたものなら監督は中々の手腕。

ラスト明かされるループの理由は前に述べた様にありがちで驚きは無いし、幕引きも人によってはポカーンとなりそうだが、一見重々しいテーマの中で肩の力を抜いて(抜かれて?)最後まで観切れる不思議な作品だった。
被害者(遺族)側の単純な「怒り」や「赦し」に重きを置いていないところが好みな一品。

この作品の面白さに
⬜︎同意します
⬜︎同意しません
竜どん

竜どん