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駒田蒸留所へようこそのIchiroのレビュー・感想・評価

駒田蒸留所へようこそ(2023年製作の映画)
4.6
<感想>
本作に何故ここまで惹かれたのか。
予告編だけでも感動作とは分かるものの、悪く言うと少しオチが見えてしまう作品であった。
しかし、鑑賞後の一言目は、全く違和感の無い「リアル」な仕事と繊細な人間関係に心打たれた。
というのも出版社で働く高橋は、職場にいる新人さん、言葉をさらに悪くすると、変なプライドだけ持った使えない「令和版ダメ社員」。
それとは裏腹に、父から会社を継いだ駒田琉生は94年生まれという若さにも関わらず、社員一人一人を想いながら顧客第一を考える素晴らしい社長。
この作品の面白いところは、この2人が互いに協力し合うことがメインではなく、同じフィールドで自分たちがそれぞれで成長していくところだった。

また、男女が登場する時のアニメでお決まりの恋愛シーンなど、本作の伝えたいメッセージから逸れた無駄なシーンが一切ないため、ストーリー重視で作られていたことに魅力を感じた。


<総括>
日本のアニメはどのジャンルでも最高峰であることが分かった。
あまりアニメ業界に詳しく無いが、本作を手掛けた「P.A.Works」は主に仕事系アニメをメインとしている制作会社であることから、違和感の全く無いリアルなストーリーを制作していたことに興味を覚えた、と同時に日本のアニメのレベルは世界と比べても限りなく高いのだと実感した。
本作はウイスキーについての専門的な知識があればより楽しめるようになっているが、私のように全く知らない素人の方にも十分楽しめる作品であり、伝えたいメッセージとしては何事にも「真っ直ぐ頑張る人」に対してエールを送っているように感じる作品となっている。
仕事やプライベートで上手くいっていない人、そもそも生きている中で目的がなくモチベーションが低い人にとって、心に刺さる作品だろう。
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