Ichiro

ファースト・カウのIchiroのレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.7
<映画への一言>
圧倒的なエモさ


<良かったこと>
・映像の美しさ
・敢えて複線を張るもの張らないものが絶妙
・余韻を与えるストーリー構成

<悪かったこと>
・冗長となるシーンが多い
・前半の60分が無駄にゆっくり
・全体的にセリフが少ないため眠気を誘いやすい


<総括>
この作品全体を通して1番驚いたことは、A24配給の作品であったところ。
これまで数多くのA24配給作品を鑑賞しており、A24に対する私のイメージ「異色極まりない作品」であった。
だが、本作はそのような表現が良い意味で一切ない。
全体的にセリフがかなり少ないため、小事業人によっては眠りについてしまうが、個人的にはそういったシーンも含めて後半に繋がっていたことに感動した。

また、本作は渋いというよりは現代語で「エモい」という言葉が似合う。
というのも、ストーリーは牛のミルクを使って当時知られていなかったドーナッツを売り捌き一攫千金を狙う2人の男の物語だが、男の友情が言葉ではなく表情で伝え合うという心理ドラマっぽさを感じる。
もう一つは、ハラハラするシーンは少しあるが、そこが映画のメインではなくじっくりと進む2人の考えや行動こそがこの映画の醍醐味だと思わせるところである。

映画ファンの私としては、この映画は万人受けできそうにないと思う一方で、病みつきになる人にはかなり刺さる映画だと感じている。
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