いの

裸足になってのいののレビュー・感想・評価

裸足になって(2022年製作の映画)
3.9
これからもっと世界を魅了することになるであろうリナ・クードリの今を目撃する、っていうだけで観に行くのもアリ! 今作での彼女は、声での台詞がほとんどない分、ダンスで、怒りに満ちた表情で、優しい笑顔で、持てるもの全てを駆使してスクリーンを見つめる者の目を釘付けにする。魅了されちゃうこと間違いなし!


エンドクレジットの青色は、海に陽光が射しているような色味なのだと思った。本篇でも、陽のひかりが反射されているような場面が多くあったのは、太陽はいつも苦しんでいる女性の側にいることを示しているのだろう。大丈夫大丈夫、いつも太陽は貴女とともにあるよ、って。青い空も海もそうだよって


連続テロ犯は恩赦という名の下にクソなことを平気でする。その被害に遭う女性。テロで子どもが殺されその傷が癒えない女性。車を運転しているのが女性というだけで攻撃にあう。それは少し前(近過去)のことなのだろうか。アルジェリアの歴史も現在も知らなくて本当に申し訳ないけれど、多分、わたしのようなヤカラが今までみようとしなかったことが取り上げられているのだと思う。女性監督による、女性たちの声なき声を掬い上げた作品。その声は、声にはならずとも、ただ黙って耐えているだけじゃなく、手を取り合い、少なくとも心の自由と心の尊厳は守り通そうとする女たちの歩みなのだと感じた。ダンスは心の独立を守る象徴。だから激しくてあつい。がんがん揺さぶってくる。いくつか引っかかりをおぼえた点もあるけれど、でも、思いはじゅうぶんに伝わってきた。わたしはある瞬間から、感情がいっきに振り切れてこみ上げてきてしまって、そこからはずっと心の高鳴りをおさえることができなくなりました




*リナ・クードリ出演作を観るのはこれで3作品目(『オートクチュール』『フレンチ・ディスパッチ ~』『裸足になって』)
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