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ほつれるのfujisanのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
3.6
『思った以上にほつれてた』

今年9月に劇場公開されていた作品でしたが、アマプラで無料視聴できるようになっていました。

不倫関係のどん詰まり感を描いた映画で、その時点でかなり好き嫌いが分かれそうですが、個人的には面白かったです。

『愛こそ人生』という感じで、あっけらかんと不倫が描かれるフランス映画とは違い、『不倫は文化』だと言って大炎上した石田純一さんの例を引くまでもなく、日本では不倫を描くとこういう感じになるよね、という映画。

門脇麦演じる綿子、不倫相手の木村、綿子の夫の文則、文則の前妻と、主要な登場人物に誰一人として感情移入出来る人物はおらず、ただただ、じくじくとした会話が続く鬱映画でもありました。



加藤拓也監督の映画は初めて観ましたが、自身による脚本は不要な会話を徹底的に削ぎ落とした『禅的』なものになっていて、「あのこは貴族」でも見せていたような、門脇麦さんの冷静で感情が見えない不思議な雰囲気と良くマッチしていたように思います。

染谷将太演じる木村の運命は映画的でしたが、プロットとしては不倫ドミノによって崩れていく人間関係を描いたシンプルなもの。それを、84分という潔い短さにまとめているのも良かったと思います。

配給がビターズ・エンドってことで、最近だと「正欲」、もうすぐ公開される「PERFECT DAYS」と、静かな中にひねりのある作品としてトーンが統一されてますよね。



門脇麦さんの死んだ眼の演技も印象に残りましたが、一番印象に残ったのは、田村健太郎さんが演じる夫、文則の気持ち悪さ。

妻の浮気を疑って電話をその場で友達に代わらせるとか、シンプルなワードで相手に語らせ、じわじわ理詰めで追い込んで行くところとか、ひたすら気持ち悪いです😫

無断で深夜に帰宅した妻への第一声が、『とりあえず謝ろっか・・・』ですからね。『なんやこいつ気持ち悪っ😫』 以外に感想が出てこない。。

ただ、とにかく相手から離婚を切り出させることに終始する文則が、たった一言で見事に切り替えされ、あっという間に立場が逆転したところが痛快でした👍

静かな映画ではありますが、『子供もいないんだったらとっとと別れたらいいのに』、とか『一度不倫した人は繰り返すよね』、とか、ツッコミ入れながら観ても楽しいかもしれませんね😅




2023年 Mark!した映画:356本
うち、4以上を付けたのは41本 → プロフィールに書きました
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