こなつ

パラダイスの夕暮れのこなつのレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
4.0
新作「枯れ葉」を引っ提げて5年振りのスクリーン復活を成し遂げ、私達を感動させてくれているアキ・カウリスマキ監督の初期の作品。「労働者三部作」の1作目。「枯れ葉」は、この「労働者三部作」の4作目に位置づけられている。

決して若くはないちょっと運に見放された冴えない男女が、孤独を抱えながら不器用に生きる姿を描いたラブストーリー。

1986年のヘルシンキが舞台。40年近く前の作品なのに古い感じがあまりしない。アキ・カウリスマキ監督の映像は透明感があって美しい。独特な色合いのある温かな世界に心惹かれる。夕暮れのヘルシンキが心に沁みる作品だった。

ゴミ収集の仕事をしているニカンデル(マッティ・ペロンパー)は、毎日代わり映えのしない退屈な日々を送っている。スーパーのレジ係イロナ(カティ・オウティネン)をデートに誘っても上手くいかない。イロナがスーパーから突然解雇されて、ニカンデルのアパートに転がり込んで来た。このまま恋が成就するかと思われたのだが、、

この頃からカウリスマキ監督のスタイルは定着していたと思わせるほど、「枯れ葉」と雰囲気が似ている。今は亡きマッティ・ペロンパーもカウリスマキ作品常連のカティ・オウティネンも若い。2人が乗ったフェリーの目的地は、対岸のバルト三国エストニアの観光地タリン。美しいラストがいつまでも心に残る素敵な作品だった。
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