ヴィクトリー下村

哀れなるものたちのヴィクトリー下村のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8
エロとグロに彩られたダークファンタジー
2時間22分の異世界体験。見たことない世界へ連れて行ってくれる

美しく魅力的なベラと彼女を自分のモノにしたい男たち
最初は無垢さで男たちを振り回していたベラが知識と教養で男たちを無双していく姿は痛快

ダンカンが食事の席で言う台詞や態度に対するベラの行動はかつて女性に向けられた「女性はこうであるべき」という男性優勢の歴史に対するカウンターでもあるんだろう。

ベラは誰かの所有物にもならないし支配もされない。まさに女神のようだった

ストーリーも素晴らしいけど自分がハマったのはビジュアル。
鑑賞前に原作を読んでたけど、こんなに美しくファンタジックな肉付けをしてるとは

小説読んでる時はこんなイメージ全く思い浮かばなかった(そもそも小説は現実と地続きの世界という設定)し想像を越えてきた。
映像化という意味では最高なんじゃないだろうか。
コロコロ変わるベラの衣装可愛かったな。


作品ごとに新しい面を見せてくれるんだけどランティモスだけど、どの作品にも共通する「本人たちは至って真剣だけど傍から見たら滑稽に見える」シーンは健在。

船の上でダンカンが婦人を突き落とそうとする場面もシュールで笑えるし、娼館での父親と子供の下りは『ロブスター』を思い出した。

エマ・ストーンは見たら分かる主演女優賞ノミネートも納得の圧巻の演技。
『ラ・ラ・ランド』に匹敵するくらい素晴らしいダンスシーンを見て欲しい!

ダンカン、小説読んだ時は凄くいけ好かないキャラクターで映画もそうなんだけ、どマーク・ラファロが演じてるお陰がどこか憎みきれない。
ウィレム・デフォーも良かったなぁ。

一晩経ったけど今も余韻に浸ってる…