Kamesuke

哀れなるものたちのKamesukeのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7
先行上映で観てきたけど、とんでもなく素晴らしい怪傑作だった。

どのシーンを切り取っても美しい色彩の幻想絵画的な映像やモノクロ撮影、時には魚眼レンズを通して映し出される奇妙奇天烈でスチームパンクな19世紀を背景に、
性と生を熱烈ジャンプで突き進んでいく新生児ベラ・バクスターのR18+無修正成長冒険譚。

ヴィクトリア朝時代が舞台で原作も30年前に書かれた話ではあるけど、現在に伝える物語としてもとんでもない強度を持ったフェミニズム映画であり最高の人間賛歌。
ランティモス特有の露悪表現も、奇怪で醜く美しい世界観に説得力をもたせてて良い方向に働いてる。

身投げした女性が自らが宿していた胎児の脳を移植させられ蘇生するというフランケンシュタインの話型且つ、
無垢な存在が性の悦びを知り世界に身をさらけ出しながら社会の道徳や不条理など学習し、知性と尊厳と女性の自由意志を獲得していくというまさにランティモス版ピノキオ。

とにもかくにもエマ・ストーンの怒涛の演技は凄まじいとしか言いようがない。オスカー獲ってほしいマジで。
ウィレム・デフォーも相変わらず存在感抜群で最高!
二枚目のようで全く哀れで情けない男性像を一手に引き受けるマーク・ラファロも素晴らしい。
脚本がトニー・マクナマラで3度目のタッグとなるエマ・ストーンとの相性は抜群。

その絵画のようなシュルレアリスム的ビジュアルだけでも100点満点。
あと『ボーはおそれている』とは冒険映画として何もかもが対照的なので見比べて観るのも一興かもしれない。

まだ1月だけど今年暫定ベスト。
Kamesuke

Kamesuke