このレビューはネタバレを含みます
凄かったな…
胎児の脳を移植することで生まれたベラは、監獄に囚われ何も知らない状況からダンカンと共に世界に出ることで彼女の世界に色がつく。文字通り白黒でスタートし、ベラがリスボンに到着すると美しくも不気味な色彩で映画は色付けられる。
ベラはカキやエッグタルトで食を、ダンカンとのsexによって性を知る。だか、虚構に塗れたダンカンは、原始的な人間の欲に忠実なベラに徐々に翻弄され始める。
一方で、虚構で自分を飾らずに現実主義に生きるアストリーは彼女に残酷なまでの世界を提示する。
人間の欲に忠実で、アストリーたちとの出会いにより知識と知性を身につけた彼女は、パリでダンカンと決別。
最後、ロンドンに戻り自らの出生に関わる全てに決着をつけると…
男性優位社会に対するアンチテーゼを示してるのは分かるんだけどそれだけじゃないと思ったな。(というか、それだと辻褄が合わないキャラクターがちょこちょこいる)
もっと根源的な人間の在り方みたいなのを提示してると思う。じゃないとせっかく素晴らしい作品なのに途端に安っぽくなる気がする。
相変わらずちょっとクセのあるカメラワークと、素晴らしいエマストーンの演技、そして何よりセットがヤバい。
リスボンの街、豪華客船、パリの街と娼館、エマストーンの衣装、とにかくセンスが爆発してる。ここまでセットが凄い映画久しぶりに見た気がする。リスボンと冬のパリのセットとか目を疑うレベルだった。