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哀れなるものたちのrollinのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
火の鳥


あまりに良すぎて笑うしかねぇです。
リンチとミシェル・ゴンドリーの感性を掛け合わせたような、つまりはルイス・ブニュエル的格調高き怪奇世界。
今日日巷やネットに蔓延っている厄介ismを人造人間エマ・ストーンというブッ飛んだヒューマニズムで総括するヨルゴス・ランティモス版『火の鳥』でした。

全身全霊全裸のエマ・ストーンはもちろん、杉元佐一のスカーフェイスが霞むレベルの顔面世界遺産ウィレム・デフォーや、憎みきれないクズ役が嵌りすぎなマーク・ラファロもこうかはばつぐん。ダンスシーン最高な。

ヴィンテージで愛らしい調度品をはじめ、LEDウォール撮影によるエグい奥行きの背景美術、ユニークでモダンな衣装、クラシカルなカメラワーク、カラコレ、SE、場面ごとのレンズのチョイス等、スクリーンから溢れ出るイマジネーションの奔流が悉くワイの琴線に触れてずっとハァハァ🤪言ってました。ロープウェイみたいに空中を走るトラムが醸し出す空想科学感やジオラマ風ピン送りも最高です。

まさかヨルゴス・ランティモス監督が手塚治虫の域に達するとは。汚ねぇオッサンとの絶え間ない絡みを通して匂い立つ人生の悲喜こもごも。人生を俯瞰して喜劇化する必要なんてない。善悪美醜すべてひっくるめて人間だもの。ひょっとしたら人生の最後に観る映画はこれでいいかもしれません。

お見事でした!
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