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哀れなるものたちのmmsanのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
まっさらで純真さいっぱいのベラからみたこの世界の不思議と可笑しさを潔くストレートにぶち込んでくる痛快な世界観が気持ちいい。こうあるべきこうあらねばを鮮やかにひっくり返しながら自由や快楽や慈悲を学んでいくベラが本当の姿を見つけるまでを、奇妙でありながらも愛おしさいっぱいに描いている。世界はこんなものかと受け入れるのではなく自分の意思で切り開いていく姿勢が頼もしい。ベラが貪欲に知識やらを吸収していくほどに、そんなつまらない人間になるなと嘆くマーク・ラファロ演じるダンカンの色々なクズぶりもベラを通して見てみるとむしろコントロールしようとするその必死さが滑稽ですらあって、初めてあの手の人間を可視化できたみたいな面白さ。ある人物の「進化」も最大の皮肉が効いていて良い。でもベラが心の底から抱きしめたのはきっとバクスターであって、ベラとバクスターの関係を通じてこの映画から感じたのは意外にも愛だったりして、そこが好きだった。
エマ・ストーンってやっぱり良い。核にある純粋さとか知的さとかがどんな役を演じていても滲み出てて、その雰囲気佇まいが本当に好き。
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