Amber

哀れなるものたちのAmberのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

『哀れなるものたち』は観たいとは思っていた。しかし、他の映画を優先して後回しにしていた。ところが、アカデミー賞11部門ノミネートと知って観たかった『傷物語』などを押し退けて観ることにした。

予告ではベラの奇妙な言動や独特の踊りなどが気になり、何かでSF的要素のある映画だと知って、だったら観てみたいと思った。まさかこんなに性描写が多いとは思っていなかった。映画を観る前は何故R18+なのだろうと思っていたが、こういうことだったのかと合点がいった。イギリスではどうなのか知らないが、アメリカでは性器はうつすらしいのに、日本では性器にぼかしを入れるということがあるが、『哀れなるものたち』の場合はぼかしは入っていなかった。ベラは死体の男性器を弄んだりしていた。これなどはぼかしを入れたらこのシーンの意味がなくなってしまうので、さすがにぼかしは入れないだろう。それにこのシーンの男性器は死体なので作りものかもしれない。また、作りもののように見えた。

奇妙な音楽は前衛音楽というのだろうか。クラシックの前衛音楽は好きではないが、この音楽は嫌いではない。不思議な雰囲気を醸し出していて、かえってクセになる。今もKKBOXで『哀れなるものたち』のサウンドトラックを聴きながらこのレビューを書いている。ちなみにKKBOXでは『哀れなるものたち』で検索しても出てこず、原題の『Poor Things』で検索したら出てきた。改めて聴くと、民族音楽的要素もあるのかな、と思った。

キメラがいくつか登場してきたが、私は子供の頃、にょろにゃんこという頭が猫でその下に蛇の胴体がついているキメラのキャラクターを創造したり、カエギくんといったか、蛙と兎のキメラを創造したりして遊んでいた。にょろにゃんこは学校新聞に4コマだったかのにょろにゃんこの漫画を描いたこともある。

ベラが急激に知的に成長していく様は、『アルジャーノンに花束を』のチャーリイ・ゴードン(ゴトウィンにちょっと名前が似ている)が急激に知的に成長していく様を思い出した。チャーリイはまた元に戻ってしまったが、ベラはコドウィン・バクスターが亡くなったあと、支配者的存在のようになっていた。

エマ・ストーンは魅力的な女優だ。他の映像作品も観てみたくなった。ウィレム・デフォーは何かで観たことのある俳優だ。Filmarksの『哀れなるものたち』のキャストのウィレム・デフォーの名前をタッチして、出演作品を見てみると、観た映画がいくつかあった。でも、はっきりは思い出せない。出てたかも程度の記憶しかない。

背景など映像もきれいで、壮大な大人の童話の絵本のようだった。時代が不明だが、キメラは超古代文明で存在していたという話がある。狼男などもその生き残りだという説もあった気がする。だから、超古代のようでもあり、近未来のようでもあり、ゴトウィン・バクスターからはフランケンシュタイン博士を連想するので、『フランケンシュタイン』の時代のようでもあり、パラレルワールドのようでもあり、いわば架空の世界なのだろう。

スコアは5.0といきたいところだか、最近5.0をつけすぎているのもあるし、性描写の多さにちょっと辟易したので、4.8というスコアが浮かんだ。

2024年の映画鑑賞はこれで20本目。10本観るごとに映画鑑賞リストをレビューに書くことにしている。

2024年映画鑑賞リスト
⑪N号棟⑫パーフェクトブルー⑬千年女優⑭カノジョは嘘を愛しすぎてる⑮巡る、カカオ〜神のフルーツに魅せられた日本人〜⑯I am ICHIHASHI 逮捕されるまで⑰君の膵臓をたべたい⑱サイレントラブ⑲ファーストラヴ⑳哀れなるものたち

〜追記〜
『哀れなるものたち』のサウンドトラックを聴いていると、奇妙な音楽ではあるが、何か美しい音楽のようにも聴こえてくる。日本の童謡のように聴こえたり(童謡の「チューリップ」か何かに聴こえた)、日本の宮中音楽のようだったり、パイプオルガンらしき楽器が使われていたりと、映画を観ていた時には気づかなかったことをいろいろと発見した。それと、映画のシーンが浮かび、じわじわと、いい映画だったなという思いが強くなってきた。性描写の多さがあっても、いい映画はいい映画なのだと思えてきた。アカデミー賞もいい線いくのではないだろうか。
Amber

Amber