このレビューはネタバレを含みます
ヨルゴス監督センスのよさが爆発していた。
美しい。
ストーリーもよかった。
奇抜ながらもきちんと成り立っていたし、広げまくった風呂敷もきちんと収まっていた。
これどうやって終いにするんだろと思ったけど、さすが。
奇妙でざわざわする物語をつくる天才。
音楽もよかった。
ロブスターも女王陛下のお気に入りも一貫して監督色が際立っていたが、今回はより鮮明に分かりやすくメッセージをこめた作品のように思う。
そしてエマ・ストーンの素晴らしさよ。
彼女なしにはこの作品は成り立たないだろうな。
はじめ
白色ふっくらとしたキルトの刺繍
(きっとなにか示唆しているんだろうけどわからなかった。ギリシャ神話かなんかかな…)
ブルー鮮やかながらもダークな世界で美しい女性が一人、悲痛な表情をし橋のうえから身を投げる。
おわり
身を投げた理由は暴力的で圧力的な夫(将軍)がもたらす不自由さによるものだった。
出ていくことを伝えるベラ。将軍は銃で脅してきたが どうせなら心臓を撃ち抜けと迫る。
一瞬の隙をつきベラは将軍の足に銃弾を打ち込む。
血だらけの将軍を家に連れて帰りフィアンセである医師に銃弾をとるようお願いする
「いいのかベラ、助けてしまうと彼はどこまでも君を追うだろう」
「いいの、私に考えがある(ここらへん台詞を忘れてしまった」
…数日後…
太陽がキラキラと輝くガーデンにいるベラたち。
ベラ2号の女はキャッチボールが可能になっているし、ベラは対等にメイドへマティーニを一緒に飲もうと声をかけ、夫になった男も笑顔でマティーニを飲んでいる。
メェェェと鳴くのはヤギの脳みそを入れられた将軍。草をモシャモシャと食べている。
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つらつらと感想追記
個人的に陰部や胸をしっかりうつす映画がとても好きで、今作もバッチリ。無理なく映画に没頭できた。
解剖体のオチンチンをパッタンパッタン遊ぶエマ・ストーンかわいくて好き。
女性賛歌にも読めるし、愛の物語にも思うし
生き物とか人間の神秘や不思議さや残酷さも感じられた。こんなにも問題提起していつつもビジュアルやシュールな笑いを散りばめさせられるのすごい。
旨いパイを食べすぎて景色の良い高台で吐くのリアルでよかったなー
どうでもいいことかもしれないが、こういうシーンがあるとリアルに成長を感じる。(脂っこい食べ物を一度にたくさん食べると気持ち悪くなるという成長体験)
ゴッドの人生を考えるだけで悲しすぎて息苦しくなる。監督はほんと「痛みを感じさせる」天才。
エマ・ストーンのダンスめちゃくちゃよかった。
ラ・ラ・ランドのダンスもよかったけどこれは全然チガウやつ。
魚眼レンズ描写も面白かった。
人間以外の生物からみた可笑しくて虚しい人間社会ってこんな目線なのかな。
こんなにも力もお金も(たぶん)かけている良作だけどきっともうすぐ映画館から消えるし興行成績もいまいち振るわないのだろうなと思っちゃった。あー残念。