to

哀れなるものたちのtoのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
-
発達心理学というのは興味深いテーマだ。こんな風に映画にするのは目新しいし、よくできている。

ヒロインの内的な変化を、さりげないグラデーションで描く脚本と、エマ・ストーンの演技力がうまく噛み合っていた。

奇想天外なようでいて、結局、社会的存在である人として、大切なのは、知性、愛、尊厳、みたいなものだという、私たちが知っている価値観に帰結する。見終わり後の腹落ちも、あまり難しいことなく、ソフトリーにランディングする。

と同時に、具体的にどことは分からないけど、ヨーロッパの歴史や人々の考え方に根ざしていて、日本人の私には共感しえないものがあるような気もする。なんだろな、残虐性とか、魂のある肉体を切った貼ったする感じとか。原題の「POOR THINGS」の意味も含めて、ヨーロッパの人々だけがわかるニュアンスというか、含みがあるような気がする。

で、好きな作品かというと、そうでもない。

エマ・ストーンの熱演については、本人の主体性はもちろん、インティマシーコーディネーターがサポートしていたというし、要所要所で黒人のキャストが展開されていたのも、今どきのグローバルな作品に課された約束通り、という気がする。

TOHO日比谷の5番スクリーンは、音がいいのか、追加料金200円かかったけど、8割がた埋まってたと思う。あ、映画の日か。
to

to