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ゴースト・トロピックのtoのレビュー・感想・評価

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)
5.0
静か。ゆっくり。寒い。寂しい。暗い。
ベルギーの夜なんて、まさに映画の中だけでしか見られないほど、縁のない世界だけれど、なんだか、いっしょに地下鉄を乗り過ごして、歩いて帰ってきたような、気もする。

画面は動かない。超絶ゆっくり。
ヒジャブをまとっているから、きっとイスラム教の女性で、自分とは違うけれど、
ATMに残高がない、寒い夜にダウンコート着てる、下の子かわいい、みたいな、微妙に共感する部分もある。年齢的にも。あ、部屋のリビング的なところで夜がふけたり明けたりする風景も、わかる。

17歳の娘がボーイフレンドと夜に外で飲酒してるのを見かけて、なんで声かけないんだろう、と思ったが、うーん、もしかしたら自分も直接何かいうことはしないかも。下の娘はかわいい。ラストでたしかにかわいい。横顔が美人なのはお母さんと共通するところだけど、娘はヒジャブなしで髪をなびかせて、おだやかな表情。あれは妄想なんだろうか。

家政婦してたやしきで出くわした男のシッ、
ホームレスの犬のロープがほどけるシーン(妄想?)
トロピックは南の島のサイネージと、ショッピングセンターの改装テーマ的な?
トロピックオブカプリコーンと同じ意味合いなら、境界?
ゴーストは、何?

わからないんだけれど、詩的に、そのままに。

最近、説明しない、しんみりした映画が多い。本作もだいぶ静かすぎるけど、この監督作を2つ、すてきなリーフレットで上映する文化村。これぞ文化村という感じ。木曜1200円の夜の回にお客さんがけっこう入ってて、80人くらい?東京の人々の知的好奇心もすごいと思う。
寝なかった自分もえらい。
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