女王陛下のお気に入りでもここまでするかと思ったが、この「哀れなるものたち」は遥かにそれを上回る。この映画はランティモス監督とエマ・ストーンの壮大な実験と言っていい。
人は欲望のままに生きるとはどういうことになるのか。食欲も性欲も解放されたら…。その欲を律するのが知性である。
そんな様々なことを学び知性を獲得するベラをエマ・ストーンが見事に演じている。
野菜を使った行為の表情や奔放に踊る姿は子供のようでも人間的でなくも見える。そして後半は知性と自信に溢れた立派な人間に成長していく。
さらに映像や美術、衣装、音楽も普通ではない。特に音楽は調律がズレたような不思議な響きで、改めてサントラ盤を聴くととてもユニークで可愛らしい。
とにかくいろいろな意味で衝撃的で奥が深いことは間違いなく、もう一度観たくなる無二の映画だ。
