哀れなるものたち。良い邦題である。
Poor things
これフランス語では Pauvre Creatures
だから、かわいそうな造形物。
things と creatures の違いにも色々考えながら見てしまいました。
この人の『ロブスター』を思い出させる羊とか鶏とか馬車とか。。ああ?妙だよなぁ、この不協和音何よ?というオープニング。長いんだけど全然飽きさせなかった。
ウェスアンダーソンの細々としたかわいさ?っていくら細工をしても趣味が貧乏くさくて好きになれないのだけど、この人の美術はすんなり入る。なんなんだろう。ウェスアンダーソンのあのカメラの端のごちゃごちゃしたあの感覚は虫酸が走るが、彼がすると許せてしまうのはなぜか?基本が有る安心感があるのよね。なんか古典を入れたがるところとかが安心。それからのズレ具合の趣味が好き。
リスボン、パリの景色だってあれはありえない。すべてAIっぽいのだけどなぜかすんなり入るんだよね。なぜだろう。
フランケンシュタイン博士、アナーキズムへの挑戦、社会コードなしの女性の登場とか。一体どうなっていくんだろう?マーク・ラファロの色男ぶりも最高だし。
テーマはいっぱいあって書ききれない。ただ私がズシンと響いたのは。。
女性が母性を否定しても肯定しろよ。ということ。
アナーキズムには私はすごく感動した。 『バービー』は最後産婦人科で女の身体を得て女になるがもうこの映画は一歩先に行ってる。バービーにはやはり自由さがないのだ。
もっと言うならこれはピノコの話。ピノコが奇子化するなかなかおもしろいのである。もちろんこれは手塚治虫ファンにとってはたまらん。
手塚さんはもともと非モテ自慢をする人だったからか、男女の描き方に関しては、ビートたけし的に日本人男性の枠を出ない気がする。ピノコを性的に目覚めさせることはさせなかった。多分ピノコはそういう役ではなかったのだろうか。
あと男たちの裸体もよかったね。
パーフェクトデイズの役所さんの裸体は美しい。我々はエマの裸体はすんなりと消化するがそのへんのおじさんの裸体を消化する時にかなりの苦痛を覚える。それをわざわざ監督は観客に強いるんだよ。すごいよね。
最後にやはり、アンディ・マクダウェルの娘はああやってお人形にしたい気持ちがなんとなくわかる。アメリカ人だけどコケティッシュよね。