あおや

哀れなるものたちのあおやのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
ベラ・バクスター越しに見る“哀れなるものたち”≒人間。好奇心、親心、性欲、愛情、哲学、喜怒哀楽、利他、不条理…様々な人間の一面とその人間が織り成す複雑怪奇な世界の構造。ベラという純な存在からみる外界、そして自立成長していくベラの内面を通じて“人間とはなんたるか”という壮大なテーマについて本作からは多くの示唆を得ることが出来る。
奇抜な設定からファンタジーにもミステリーにも振り切れることなく、兎角“人間”について考えさせられる性質の映画作品。一見重苦しくなりそうな描写でもどこかコミカルさを失わない独特な世界観はもはや美しい。白黒・カラーの使い分けやレンズ越しのようなカメラアングル等有効的な演出や、音楽、独創的な美術で構成される世界観が凄く印象的で、お初となるヨルゴス・ランティモス監督に興味が湧いた。
多すぎる“熱烈ジャンプ”を含めここまでするかエマ・ストーンには是非とも主演女優賞を。とにかく凄い。そして栄枯盛衰を描くまさに人間らしいとも言うべきダンカンを演じたマーク・ラファロも素晴らしかった。

哀れなるものたち人間。本当に哀れで救いようがない。それでも進歩という希望を捨てないで生きていく。
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