あおや

オッペンハイマーのあおやのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
天才科学者が如何にして原子爆弾を作り上げていくのか、ビッグプロジェクトの変遷とその後を描く。“原爆の父”オッペンハイマーのバイオグラフィーであり2024年のOSCAR受賞作品。
物語が前進すればする程、後の広島・長崎に繋がっていくことが分かっているぶん終始心が苦しくなる。プロジェクト成功での歓喜と称賛、その成功がもたらすあまりにも凄惨な悲劇。違和感しか覚えないがこれが戦争というものなんだ。あの時代、あの立場と状況下においてオッペンハイマーの選択は完全に否定出来るものではないかもしれない。しかしながら、自らが創り出したものの代償はあまりにも重たいものである。彼の原爆発明から投下までの一連の流れは人類史に残る汚点といっても過言ではないだろう。エスカレートして止まることのできない戦争というものの怖さを改めて感じさせられる。前提として戦争はあってはならないものであり、何も肯定出来ない。ただ現に起こってしまう対立において、そこに関わる如何なる立場の者であっても最低限の一線、超えてはいけない倫理観を持ち合わせるべきだと思う。
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