RYUYA

哀れなるものたちのRYUYAのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
エマ・ストーンがほぼルフィ。AIに「前衛芸術的なONE PIECE」と入れて生成されたような、エグい冒険劇。

びっくりした。サラッと起きちゃってんじゃん、映像革命。撮影音楽美術衣装、全てが前代未聞で、映画が"総合芸術"であることをイヤというほど再確認させられました。とにかく先をいきまくってる。

先をいきまくった結果、面白いのが、画像生成AIのような色味や手ざわりが近似値になってるとこ。でも今作には、明らかにAIに作れない生々しさや人肌感があるってゆー。

監督のセンスがたまたまそこに到達しただけなのかもだけど、ポールとリンゴが「これがビートルズとしての最後の新曲だから、今後勝手にAIで曲とかで作んのやめてね」と『Now And Then』をリリースして終わらせたのに近いシビれを感じた。

さまざまでバラバラな時代や風景、ファッションや価値観をつぎはぎした、フランケンシュタインの怪物のような異形の作品だけど、描かれるのは超シンプルで根源的なおとぎ話。人類みな哀れ、それだけ。でタイトルは「可哀そうに」だから普通はヒドい映画になりそうだけど、登場人物全員に愛着を感じる。皆んなヒドい目に遭うのに、誰も突き放していない。すごいバランス。

いつのことだろう。『幸福の黄色いハンカチ』で健さんが呑むビールがあまりにもウマそうで、コンビニに買いに走った私。

今作を観て、エマ・ストーン(そらオスカー獲るわ)がセックスにハマるシーンがあまりにも気持ち良さそうだったけど、くちびるを噛み、夜風に震えながら家に帰りました。人類みな哀れなり。
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