皐月

哀れなるものたちの皐月のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

映画を観終わったら後にSFロマンチックコメディなのかぁ...
と、思いつつ確かにそういう要素はあるけど人間の怖さや欲望や残酷さを感じたからスリラーでもあるなと感じた

ゴッドと言われる医学研究者が、身投げしたヴィクトリアを関係者の意思など考えもせず
自らの、研究の為にヴィクトリアにヴィクトリアの胎児の脳を移植して電気ショックで生きかえらせる
そして、名前はベラと名付けて
そりゃあ人間らしさはなくなるよねと思わずにはいられなかった

研究の為にと人間の在り方を尊重しないし人権というものすらないかのようで
そんな考えを持ち手術したゴッドが1番の怪物だと思う

身勝手に生きかえらされてベラは年齢と知能の違いがあり
本能もあり
ただ、理性が備わってないのも不自然ではない
本来人間には理性と本能が備わっているんだけれども
だからこそ、ベラが生きていく為には本能的な性的欲求を覚える

異性である、ゴッドの医学生のマックスに婚約されたり
しかし、狭い世界の中だけではなく外の世界に興味を持ち
ベラに惹かれ結婚したいというダンガンと駆け落ちして旅をしていく
旅をしていく中でダンガンとSEXをするのは自然のようで
恋愛というよりベラにとっては快楽の為にみえた
あまりにも自由すぎるベラに困惑してクルーズ戦に乗り込む

印象的だったのは、ベラが貧しい人々の過酷な現実をみて助けようとダンガンのギャンブルの賞金を乗客員に渡すシーン
赤ちゃんが亡くなっていくのは母体で身投げしていながら
母性はあったのだと私は感じた
罪悪感や母性があってもあまりにも悲しいけれども

ベラが知らない町で生きていく為にはお金と眠る場所を求め売春婦にもならざるをえなかった

そして、ゴッドが末期の病気で死が近づいていると知りマックスに呼ばれゴッドの元に戻ったが
別の研究対象を同じようなフェリシティとして手術していたりして失望するが
ゴッドの死ぬ間際に寄り添いマックスと結婚しようと決意する

その後結婚式に妻を探していた夫のアルフィーがきて
夫の所へ行くがアルフィーは妻に対して残忍な人と知る
あまりの残忍さがヴィクトリアを自殺へと追い詰めたのだと

後に、そこからも逃げる為にベラは夫と戦うようにして足を銃で打ち
クロロホルムを顔にかけた

ベラは医者としてゴッドの研究を引き継ぐ

そして、引き継いでそれを良しと思い人間を研究や実験として扱うのなら
医者ではなく怪物みたいだと感じた
悲劇の連鎖になるのに
ベラの記憶の中にいて深く関わった人だと感じ愛着の感情からかもしれないけど

その後、夫を生かしておくと決め山羊の脳を移植する

コメディというなら山羊の脳を移植したのはベラの復讐心のようにも感じブラックユーモアだと
全体的にブラックユーモアだと思うけど

非道徳的で悲しいが生きる本能もある
社会的欲求もある
それでも、本来あるべき姿を失うのはあまりにも残酷すぎる

ヴィクトリアは、悪い男性と結婚し自殺に追い込まれた女性

彼女を変えたのはゴッドなのにな
アルフィーもだが

人間を人間として扱わない心はもはや人間ではないと思うが
ベラは人間として扱われてなかったんだな
ヴィクトリアは愛情のある女性だったのに

それでも生きていける力はある

うん
哀れなるものたちだが
人を人して扱わなかった人達が1番哀れ

ベラは残酷さと貧しい人々を助けようとする人でもあるから
皐月

皐月