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シチリア・サマーのminのレビュー・感想・評価

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
4.2
なんとなくイタリア語が聴きたくて前売り券を買っていたので、本日鑑賞。シネコンの小さいシアターでもお客はまばらで静かに鑑賞できました。

実話ベースでラストを知っていたゆえ、終始心がざわつくまま観たけれど、ラストがそれか!と。脳裏をよぎる冒頭シーン。

そして、鑑賞後、3時間弱ずっとこの映画のことを考え続け、今も考えています。
何故に大人や社会の価値観でこの青年たちが自らの命を絶たなければならなかったのか。私はこの映画のラストは、果たして彼らは「自死」だったのかを問われている気がしました。社会の差別や偏見は簡単に追い詰められし者の自死の引き金を引かせる。あなたは死刑執行人のように引き金に見えざる手をかけていませんか?と。

もうね、この映画でなければ、主人公の2人の青年はミケランジェロの彫像ばりの美しさであり麗しさなんですよ!幸せ気分で愛でられるご尊顔なわけです。

なのに、映画を見終えた後はそんな浮かれポンチは砕け散ってなくなり、むしろ彼らの美しさがそのまま儚さとなり胸の痛みを倍増し。

ほんと、シチリアの景色もイタリア語もすっかり吹き飛んだイタリア映画のシュールレアリズムを引き継ぐ容赦なさ、ただただ凄い。

追記:
事件についてのサイトを見たら、自死ではなかったのね。しかも真相は藪の中。
今でも偏見は根強いと思う。特に南イタリアは根強いイメージがある。「チョコレートドーナツ」でも思ったけれど、罪のない他者の幸せを脅かす権利は誰にもない。
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