このレビューはネタバレを含みます
物事には失敗がつきもの、というが失敗してはいけない歴史があることを再認識させられた作品。
若い少年2人の恋愛模様が、役者の演技・演出によって“恋を超えた切なるもの”へと昇華されている。
仮にこの時代にタイムスリップしたとして、自分は彼らを受け入れることができるだろうか?
この映画を観て、「きっと無理だろうな」と感じてしまった。
周りから化け物のように扱われ、実の母親からは
「あなたの息子さんはまだ間に合う。(私の息子はゲイになってしまった。そのせいで彼の人生は最悪。2人の恋を今止めればあなたの息子はゲイにならずに済む。 という意味)」
と相手の息子の母親に電話を掛けられる。
映画だからこその脚色、と言われればそれまでだが、それでもこの映画の基となった事件は【未解決】となっていることを忘れてはならない。
同性愛嫌悪が浸透していた街だった故、誰も事件について口を割らなかったことが原因のひとつだと言われている。
これが【1980年】の出来事である。
2人の若者を死に追いやった事件を二度と繰り返してはならないと痛感させられた一方で、この事件もとい彼らが殺されなかった限りこの話は映画化されなかったのではないかとも感じる。
「このような最悪なことは二度と起こしてはならない」と声高に叫ぶことができるのは、ことが最悪になって初めて注目される世の中に生きているからなのだろうなと皮肉めいたものを感じながら終演。