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名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のfyodorのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

現代の問題を反映したポアロ映画、脚本の勝利

 前作「ナイル殺人事件」「オリエント急行殺人事件」と違って現代の問題を反映させた良作となった。

 前作の「ナイル殺人事件」の評価が高くなかったために予算を減らされただけあって、ほぼ1か所での撮影、有名俳優はケネス・ブラナー以外はいない映画になった。ミシェル・ヨーさんがいるが、撮影は「エブリシング・エブリウェア・オール・アト・ワンス」の公開前なのでまだギャラは高くなってないし、出番も多くない。しかし、前作、前々作と違って現代の問題を反映させたために、rottentomatoの評論家の評価は高く、面白いため視聴者評価も高い。原作の「ハロウィーン・パーティ」を基にしているが、ハロウィーンの季節に起こった殺人、という以外は殆ど似ていない。原作改変映画だが原作より面白いので問題ない。

 前々作の「オリエント急行殺人事件」は一応ひねりはあるにしろ原作をそのまま映画にしてしまった。原作自体はその当時のリンドバーク愛児誘拐事件を基にしているので別いいのだが、2017年でそれを描かれても観客は感情移入できない。まして1974年の映画「オリエント急行殺人事件」で既に原作再現映画を作っているからそれと比べられてしまって、評価は低かった。
 前作のナイル殺人事件も現代の問題を全く反映させていないので評価は低かった。
 そのため今作は前作、前々作の反省を取り入れて低予算ながら評価の高い作品に仕上がった。つまり移民と虐待である。

 霊能力者のレイノルズはミシェル・ヨー先生が演じている様に中国系移民だ。その部下もニコラス・ホランド(弟)とデズデモーナ・ホランド(姉)も移民でアメリカに移住するための資金稼ぎのためにレイノルズの手伝いをしている。現代に激しい移民差別があるようにこの2人も差別と偏見のため最初は冤罪を着せられる。しかしそこは移民差別者のようなバカではないポアロがいるためその愚かな疑いは晴らされる。

 最終的には犯人は死んだ子供の母親ロウィーナ・ドレイクで、その子供もロウィーナが殺した。子供は成長すると自立して親から離れていくが、ロウィーナは人間の屑で子離れできないために子供に毒薬をこっそり飲ませて病気にして自分が面倒を見る=自分の管理下におくようにしていた。間違ってその毒薬の量が多すぎて殺してしまったのだ。代理ミュンヒハウゼン症候群という。この下等人間も最後は自業自得で死ぬ。いいことだ。
 移民のホランド姉弟も無事アメリカに移住できる。

 一応付け加えるなら人間のカスであるロウィーナはもっと残虐に死なせるべきだった。
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