耶馬英彦

BAD LANDS バッド・ランズの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)
4.0
 山田涼介のアクション映画というと、2015年の「グラス・ホッパー」のイメージがいまだに残っている。とてつもなく強い若い殺し屋の役を演じていた。

 本作品で演じたジョーは、少年期がさり気なく説明されるから、人間味が出ている。明日なんかいらないみたいな刹那的な人格が、ストーリーにとって重要だった。
 ジョーの姉に当たるネリは、弟と同じ境遇の出身で、頭が切れて度胸も行動力もある。人生も世界も複雑だが、やり方次第で突破口は見つかるという考え方の持ち主で、難解な役柄だが、安藤サクラにはぴったりだった。流石である。

 裏社会の力関係に警察の思惑が絡んで、物語は危機感に満ちている。スリリングな展開に時間を忘れる作品だ。目的のためには手段を選ばない悪い連中ばかりが登場するが、人間の二面性はここでも表現されていて、悪いばかりではなく善意もある。カタギの社会と何も変わらない。

 序盤に登場する「月曜日の巫女」は意味不明だったが、終盤できっちりと回収されているところがいい。原作者の黒川博行は「後妻業の女」の原作者でもある直木賞作家だ。しっかりした原作の上にストーリーが構築されているのが分かる。とても面白かった。
耶馬英彦

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