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リトル・ワンダーズのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

リトル・ワンダーズ(2023年製作の映画)
4.3
【手慣れたガン捌きだガキんちょ集団!】
ここ最近、カンヌ国際映画祭監督週間がキレッキレで新鋭監督を発掘してくるのだが、またしても逸材が見つかった。それはウェストン・ラズーリである。ミュージックビデオ界隈出身である彼の長編デビュー作『リトル・ワンダーズ』を観たのだが、単に子ども映画特有のやんちゃさやファンタジー要素でごり押す作品ではなく、ジャン=ピエール・メルヴィルさながらの緻密な駆け引き、ガンアクションが行われていたのである。

道で、ガキんちょ軍団が、鉄瓶を鷲掴みにしポケットへ放り込む。一本は手持ちのエアガンにシュコッと装填し、ハーレーバイクのようなもので工場襲撃に向かう。工場に侵入する。連係プレイで段ボールから箱を出すのだが、足音が聞こえる。サッと隠れる。警備員が通り過ぎる。物音が鳴る。彼が振り返ると、少年が一人立っている。てのひらからワームグミが出てくる。あまりの出来事に硬直する警備員。その隙にガキんちょは逃亡する。

強奪ものであれば、ここで盗まれるのは機密情報であったり金なのだが、子ども映画なんでゲームだ。思い思いのゲームを広げ遊んでいる。さて、ここで新しいミッションが現れる。病気のオカンのためにベリーパイを振る舞うといったものだ。はじめてのおつかいよろしく、壮大な冒険が待ち受けていた。

インスタ映えするような、フォトジェニックな質感の中、ガキんちょ集団がスカした顔で、時に魔法を使いながら大人と戦うファンタジーものなのだが、突然ガチトーンになるところがクセになる。

例えば、敵のアジトで銃を向けられる場面があり、それをクリアリングするのだが、その時のショットは、ガチもんのガンアクションさながらの手法が取られ、大人も子どもも対等な関係となる。かと思えば、突然『ナポレオン・ダイナマイト』のようなダサいダンスシーンが展開される。正直、ウェストン・ラズーリ監督は長編デビュー作に全てを注ぎ込もうとし、冗長に感じる部分もあるのだが、アクション映画のニューホープとして期待ができそうだ。
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