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ザ・クリエイター/創造者のMrOwlのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.2
舞台は2065年。現代から30余年のそう遠くない未来。発達したAIが、人類に核を使用した・・・。世界はAIの使用を中止するが、ニューアジアと呼ばれるアジア地域(ベトナム、カンボジア、インドネシア付近がイメージされているようです)ではAIと人類が共存していました。危険を回避するため、AI側は「兵器」を創造。創造した「クリエイター」とAIを殲滅するため、米国はAIの掃討を宣言。ニューアジアが戦場になっていきます。予告編でも示されているように、兵器は「AIの少女」です。元特殊部隊の〈ジョシュア〉(ジョン・デイヴィッド・ワシントン)は部隊とともにニューアジアに潜入しますが・・・という、AIの暴走、人間のエゴ、何を持って人間と定義するか、などAIを扱ったSF作品ではよくテーマにされる内容ではありますが、本作はそこにゴジラ大好き、スターウォーズ大好きの親日監督ギャレス・エドワーズの日本愛が加えられ、視点が異なる作品に仕上がっています笑。あるインタビューによりますと、監督は『ブレードランナー』や大友克洋の『AKIRA』などを参考にしたそうです。またネオン輝くニューアジアの都市をつくりあげるため、東京・渋谷や新宿にてロケ撮影が行われたとのこと。劇中には、ゴジラ映画へのオマージュのような演出もあれば、日本のコミックやアニメーションを思わせる場面もしばしば登場します。またキャラクターとしてAIロボットが登場しますが、見た目はロボットと分かりますが、顔が人間に近しいAIシミュラント(模造人間)とアップルシードのブリアレオス・ヘカトンケイレスのオマージュを感じるデザインなどが共存しています。ニューアジアのAIのリーダー的存在のハルンは、渡辺謙さんが演じています。謙さんと監督は『GODZILLA ゴジラ』以来の再タッグですね。エドワーズ監督は謙さんをかなり信頼している様子です。実際、謙さんの本作での存在感は大きく、見せ場も多かったですね。また主役のジョシュアを演じる、ジョン・デイヴィッド・ワシントンも良かった。TENETの時にも感じましたが、ジョン・デイヴィッド・ワシントンは、哀しい表情、切ない表情が似合うんですよね。父上のデンゼル・ワシントンが笑顔や怖い顔が印象的なのに対し、ジョンはベースが優しそうな面持ちですから、哀しい表情が本当に辛そうで、もらい泣きしてしまいますね。本作でもマデリン・ユナ・ヴォイルズちゃん演じる、特別なAIのアルフィーとの絆が育まれ、秘密が明らかになっていく過程、そして終盤からラストシーン、泣けました。マデリン・ユナ・ヴォイルズちゃん、最高です。他にも舞台がニューアジアなのでジェンマ・チャンさんやヴェロニカ・グゥさんといったアジア系の女優さんが多く出演し、米軍側の非情な女性大佐をアリソン・ジャネイが演じていてその対比も良かったです。本作はどちらかというと米軍側よりもAIとニューアジア側に感情移入しやすく作られていますので、一応米軍側にも大儀はあるのですが、白人の人はちょっと抵抗感があるかも知れませんね。真珠湾攻撃を描いた映画を日本人がみると、ちょっとな・・・と感じるように。自分は好きな俳優陣が出ていること、物語のテーマも深く、演出も良かったので楽しめました。音楽が印象的だな、と思っていたら、ハンズ・ジマーだったので納得しました笑。さらにエンドロールでもギャレス監督の日本愛を感じられて嬉しかったです。
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